木造二階建住宅でも精算法による構造計算が必要
日本の現行の建築基準法(施行令第46条)では、木造2階建て住宅(延べ床面積500m²以下)では厳密な構造計算をしない簡易計算法である『略算法』が採用されています。実は、この『略算法』には建物が地震力に対抗する上で重要な数値である『偏心率』や『層間変形角』など重要な計算算定項目が全く考慮されていないため、筋違い量が25~50%不足しているのです。
また、近年既存住宅に対する『耐震診断による耐震リフォーム』が高額な費用を掛けて行われていますが、耐震診断方法も『略算法』を根拠として算定されています。本当に地震に強い建物といえるのは、『偏心率』や『層間変形角』などが考慮された『精算法』で計算された『構造計算された建物』が本当の耐震住宅なのです。私たちは、お客様の財産と生命を守るために万全を期して、携わった全ての建物に構造計算を実施しています。耐震住宅の事や詳細をお知りになりたい方はお問合せください。
> 検証項目
耐震住宅検証項目 | 現行法(建築基準法施行令46条)による略算法の場合 | 構造計算による場合 |
■壁量、バランス、仕口部分の規定を満たす。 | (チェックする) | (チェックする) |
■軸組・梁の材質を明確にする。 | (チェックしない) | (チェックする) |
■ホールダウン金物の位置及び量を計算して配置する。 | (チェックしない) | (チェックする) |
■ヤング係数(材質強度)に対する配慮 | (チェックしない) | (チェックする) |
■『剛性』・『変位(層間変形角)』・『偏心』に対する検証 | (チェックしない) | (チェックする) |
木造二階建ての場合、現行法では考慮されません。 |
> 検証結果の違い
上図は、『略算法』と『精算法』の検証結果の違いをレーダーチャートで比較をしたものです。
グラフをみますと、『精算法』の線が基準ラインを全てクリアしてバランスのとれた形をしているのに対して『略算法』の線は、基準ラインを大幅に割り込み、バランスの悪い形になっているのがわかります。
しかし略算法の場合は、この基準がありません。
このように、まったく同じ建物であっても構造計算を『する』『しない』とでは、耐震、耐風圧性能に、このような大きな差が生じてきます。実際に筋違いや金物の量も大幅(30~50%)に違う上に、強度のバランスをとって配置するためには精算法による構造計算が必要となります。
このことから、木造二階建て住宅においても、本当の耐震住宅とは『精算法による構造計算』が極めて重要であるということがおわかりいただけると思います。
> 耐力壁と曖昧な壁の違い(精算法と略算法の違い)
【精算法】の耐力壁とは・・・?
筋違いには1本当り360kgの水平耐力があり、図のようにダブルで入っている場合では、約720kgの耐力があります。
【略算法】の曖昧な壁とは・・・?
曖昧な壁には水平力は期待できません。
精算法の構造計算をされた建物はどのくらいの震度まで耐えられるのですか? | |
精算法で構造計算された建物は、震度7クラスの地震を想定して計算されています。これは阪神・淡路大震災と同じ規模の地震です。参考までに略算法は「震度5強で倒壊しない」を目安としています。 | |
構造計算をすると高くなるんじゃないの? | |
いいえ、追加費用は発生しません。当組合の見積は「オールインプライス!」。一般に別途費用となる設計費用や現場諸経費など、建築に必要な費用は全て含まれています。 もちろん「構造計算費」も同じです。 |